5人の弁護士がこの記事に回答しています

過失割合が変わる?人身部分と物損部分で過失割合が違う?過失割合を詳しく解説!

イメージ画像

普段聞きなれないけれど、交通事故の示談では非常に重要過失割合

実は、まとまりかけたのに変更されることもあるのです。

  • 過失割合が決まりかけたのに変更だといわれた…
  • 人身部分と物損部分で過失割合が違うのは問題ないのか
  • 過失割合の変更に不服があるけれど、裁判で覆せるのか

そんな疑問・不安に弁護士がお答えします。


1

過失割合が変更された!その理由は?

Q1

過失割合が変更になることがある?

過失割合が決まりかけていたのに、突然加害者側が変更を申し出てきた…

実は、そうしたことは十分にあり得る話なのです。

過失割合が決まりかけていたのに変更される理由として、

  • 人身部分物損部分との差異
  • 新たな証拠の出現

があります。

過失割合変更の理由を知っておけば、過失割合への納得度も変わります。

過失割合の変更について、詳しく見ていきましょう。

Q2

過失割合はどうやって決まる?

過失割合が変更される理由を知る前に、

そもそも過失割合は何によって決まるのか

を確認しておきましょう。

過失割合は、

  • 当該事故が該当する事故類型の過失割合
  • 修正要素

を考慮して決定されます。

過失割合を決める参考として、基準が定められています。

事故をいくつかの類型に分け、過去の判例をもとに類型ごとの過失割合を定めています。

東京地裁民事交通訴訟研究会による『別冊判例タイムズ』記載の基準を用いることが多いです。

修正要素とは、事故の個別的な事情のことを指します。

それぞれの事故には、事故類型に当てはめるだけでは過失割合に反映しきれない事情があります。

そんな事情を過失割合に反映するためのものが、修正要素なのです。

事故類型による過失割合の基準の一例と、修正要素の例は以下の通りです。

表1

事故の類型による過失割合

車信号青 車信号黄 車信号赤
歩行者信号青 歩行者0
100
歩行者信号青点滅 歩行者10
90
歩行者信号赤 歩行者70
30
歩行者50
50
歩行者20
80

歩行者と直進車の事故の場合

表2

修正要素の例

修正要素 過失割合への影響 理由
被害者が幼児・児童・老人 車側に対して520%の加算 歩行者側の責任能力が低い
集団で横断しているところに車が突っ込んだ 集団で歩行していれば車から見えやすいはず
酒気帯び運転 運転手による過失

これらを考慮したうえで、過失割合が決められます。

過失割合は、

  • 該当する事故類型の過失割合
  • 修正要素による過失割合の調整

によって決められる

当該事故がどの事故類型に該当するのかを判断する際にも、修正要素を判断する際にも、

事故発生当時の状況

が非常に大切になります。

2

過失割合の変更理由を詳しく知りたい

過失割合が決まりそうだったのに、突然変更になる理由として、

  • 人身部分と物損部分との差異
  • 新たな証拠の出現

があるということはすでにお話ししました。

では、これらはそれぞれどういうことなのでしょう。

Q1

人身部分と物損部分で過失割合が違う?

過失割合示談交渉の際に一緒に話し合われることが多いです。

この際、示談交渉の相手は多くの場合、加害者側の保険会社です。

しかし実は、同じ保険会社でも、物損部分担当者人身部分の担当者は違うことがあるのです。

一般的に、物損部分の交渉は人身部分の交渉に先立って行われます。

この時、物損部分で過失割合の交渉がうまくいき被害者側の過失割合が減る場合もあります。

しかし、物損部分の過失割合が減ったからと言って人身部分の過失割合も減るとは限りません。

交渉によって物損部分における被害者側の過失割合が減る理由として考えられるのが、

  • 物損部分は金額が小さいので過失割合の交渉で多少折れても保険会社の打撃は小さい
  • 示談を早くまとめて手持ちの案件を減らしたい

これに対し人身部分の示談金は、

金額が大きいため過失割合の交渉で折れると保険会社のダメージが大きい

ということがあります。

そのため、物損部分で被害者の過失割合を減らしてもらえても、人身部分では減らしてもらえない場合があるのです。

物損部分と人身部分の過失割合
物損部分 人身部分
特徴 ・金額が低い
→被害者側の過失割合が減っても打撃が少ない
・早く示談交渉をまとめたい
・金額が高い
→被害者側の過失割合を減らすと打撃が大きい
  • 物損部分人身部分示談交渉の担当者が違う場合がある
  • 物損部分で被害者側の過失割合が減らされても、必ずしも人身部分には影響しない
Q2

新たな証拠の出現で過失割合が変わる?

過失割合がまとまりそうになっても、新たな事実が分かると、過失割合が変わる可能性があります。

過失割合がまとまる直前に新たな事実が発覚することもあります。

そうすると、事故類型が変わったり、修正要素が増えたりするのです。

わかりやすい例を挙げてみましょう。

歩行者と直進車の事故の場合

  • 歩行者(被害者)=青点滅で横断歩道横断開始、途中で赤信号に
  • 車(加害者)信号=歩行者信号が赤になった時点で青信号になり進入
  • 修正要素特になし
  • 加害者側は、歩行者が横断中に立ち止まったためにぶつかったと主張したが、証明できなかった

◎過失割合 被害者:加害者=30:70

事故の目撃者が見つかり、歩行者が横断中に立ち止まったと証言した

「佇立」の修正要素(歩行者に5%の加算)が認められ、

◎過失割合 被害者:加害者=35:65

になった

ちなみに、歩行者と車の事故において、歩行者に過失割合が加算される修正要素は以下の通りです。

歩行者への加算要素①場所・時間
内容
夜間 日没から日の出までの時間。
夜間は車から歩行者の発見が日中より困難
幹線道路 車幅が14m以上の車の通行が多い国道や県道などの幹線道路。
歩行の際には注意が必要なことが明らか。
横断禁止場所 道路交通法で横断が禁止されている場所を横断。
歩行者への加算要素②行動
内容
直前直後横断 車両の直前や直後を横断。
路地からの飛び出しや車両間の飛び出し。
危険であることは明らか。
佇立、後退、ふらつき 立ち止まったり後退したり、ふらつきながらの歩行。
危険な歩行であることが明らか。

どれも歩行者に対して5~20%の加算がされます。

Q3

裁判を起こしたら過失割合の変更は取り消せる?

過失割合の変更に対して不服があっても、裁判で覆る可能性は低いです。

物損部分で被害者の過失割合が減ったのに人身部分では減らない

ということについては、物損部分で過失割合が減らされたのはおまけのようなものです。

過去の判例を見れば、本来の過失割合は人身部分のものに近いと判断される可能性が高いです。

そのため、この理由で裁判を起こすと、物損部分の示談成立前であれば、

せっかく減らしてもらった物損部分での過失割合が元に戻される可能性があります。

新たな事実が発覚して過失割合が変わった

ということについても、裁判で過失割合が元に戻る可能性は低いです。

確かに新たな事実急に発覚したものかもしれませんが、事実であることに変わりはありません。

事実に基づいて再算出された過失割合である以上、それが覆る可能性は低いです。

3

過失割合で困ったら…

Q1

過失割合交渉での注意点は?

過失割合の交渉での注意点は、

  • 物損部分人身部分過失割合が異なることがある
  • 新たな事実の発覚により、過失割合が変わることがある
  • 過失割合は交通事故発生当時の状況をもとに決められる
  • 交通事故の個別的な事情を過失割合に反映させる修正要素がある

ということです。

Q2

弁護士に相談するメリットは?

過失割合について弁護士に相談することによって、

  • 過失割合が変更された場合にどう対応するべきか相談できる
  • 当該事故の個別的な事情に即した過失割合を主張してもらえる

というメリットがあります。

過失割合が変更されて被害者に不利なものになった場合、不服に感じるのは自然なことです。

しかし、それで裁判を起こしてもいい結果にならない可能性が高いです。

  • 裁判を起こすことで過失割合は変わるか
  • 交渉を粘り強く行うことで過失割合が有利になる可能性はあるか

など、今後過失割合の交渉をどうしていくべきか迷った場合には、速やかに弁護士に相談するべきです。

過失割合過去の判例に基づいて基準が決められています。

また、修正要素も定められています。

しかし、それぞれの事故は極めて個別的で、マニュアル通りではありません。

本当に当該事故に見合った過失割合を決めたいのであれば、弁護士への相談をお勧めします。

Q3

弁護士に気軽に相談する方法は?

弁護士に相談を!と言われても、

  • 高いお金を払って相談したのに、変更後の過失割合が正当だから受け入れるしかない
  • 払った弁護士費用に比べて過失割合はそれほど変わらなかった

ということにならないか不安ですよね。

実は、そんな不安を払しょくするために、無料相談を行っている弁護士事務所もあるのです。

アトム法律事務所もその一つです。

  • LINE
  • 電話

でも無料相談を行っています。

無料相談の結果、本格的に弁護士に依頼することになったら、保険を確認してください。

弁護士費用特約を使うことで、保険会社に弁護士費用を負担してもらえます。


全国/24時間/無料相談

無料相談窓口のご案内